感動のあと

ひと頃の猛烈な暑さから一転、ここ数日は過ごしやすい気候が続いていますね。でもこのまま夏が終わる筈は無く、またあのねっとりとした暑さに苦しめられる長い夏はまだまだ続きます。水分、睡眠をしっかりとって、夏に負けないようにしたいものです。

個展に向け、書ける時間はどんどん短くなり、まさにラストスパートの時期を迎えました。泣いても笑っても、あと2~3ヶ月しか書けないと思うと、やはり焦ります。ここまでいつもよりも淡々と過ごしていましたが、やはり最後は悪あがきとなりそうです。なるべく後悔せずに終えたいと思うし、人さまに見て頂く以上は以前よりも少しでも進化している作品を書かなければという思いもあります。少し精神的に辛い時期ですが、この辛さとしっかり向き合い、良い緊張感を保ちつつ、集中力を高めて冷静に取り組もうと思っています。

そんな中、まあ予想通り行き詰ってきた感じから抜けきらない状況になった事もあり、毎日書道展で特別展示されている「手島右卿の書芸術-その世界性」を見てきました。きっと何か得られるものがあるだろうと、この展示の開催を知ってからずっと期待し楽しみにしていたのですが、期待や楽しみどころか、ただただ感動するばかりでした。書道をされている方なら手島右卿の名前やその作品に触れた事があるはず。私もずっと憧れ、いつか辿り着きたいと思っている世界なのですが、本物を目の前に私は言葉を失いました。「これが本物なんだ」という感想しかありません。墨色、構成、線質、呼吸、そして臨書の上手さ、どれをとっても学ぶ事ばかりで、作品から放たれるエネルギーに包まれるだけの時間でした。このような深い感動は何年ぶりだろうか。。。

感動という言葉、私は安易に使わないようにしている言葉の一つです。心の底から揺さぶられ、言葉を失う程の、まるで脳天に稲妻が落ちるほどの思いというのは、そうそう経験出来るものではないと思うからです。人生で指折り数えるほどしかない、それほどの深い衝撃を伴うものが感動だと思っています。その指折り数えるほどしかない数回のうちの一回が、私にとってこの展覧会でした。

大人になって、だんだん毎日が惰性になり、判で押したような時間を過ごしがちになる中で、本当に感動する事が出来た事、幸せだと思っています。そして感動と同時に、自分の未熟さをまざまざと見せつけられ、もっともっと精進せよと言われたような気がしました。

この感動から新しい着想に至り、最後のラストスパートの方向性が定まりました。やはり今年の夏は熱くなりそうです。暫く寝ても覚めても創作の事ばかりの日々ですが、このギリギリの緊張感も妙に気持ちが良いものなのです。期間限定だから味わえる苦しみとも言えます。

時間が許せば会期中にもう一度、手島右卿の書を見に行きたいと思っています。今は苦しいけれど、振り返った時にその何倍も何十倍も収穫のあった夏にしたいです。あのような大きな感動を味わい、エネルギーを一杯身に受けたのだから、何だかやれそうな気がしています。

DSC_0314.jpg

皆さまも、どうぞ良い夏をお過ごしください。

スポンサーサイト

学び続けること

7月に入りました。今年の後半のスタートです。まだ手つかずの事も、進度が遅れている事も、まだまだ頑張りたい事も、焦らずじっくり取り組みたいですね。梅雨の鬱陶しさで気持ちが晴れない日もありますが、自分の気持ちのノリを上げる工夫をしながら、とにかくゆっくり、着実に、、、これが一番の早道ですよね。

ふと考えると今年は私が書道の勉強を始めて20年(のはず?)にあたります。そして三回目の個展も予定しています。特別に20周年だから記念の個展をと考えたものではなく、振り返ってみると「あっ、そういえば20年目にあたる年に個展なのか」という感じなのですが。

書道の世界では書歴20年なんてまだまだ「ひよっこ」ですが、この20年という歳月、私の率直な感想は「あっという間だった!」に尽きます。20年間、変わらず同じ師匠に指導して頂き、書友に恵まれ、好きな事を存分に取り組めた20年です。またこの20年のうちの殆どは、会社員として働きつつ書道を学んでいたので、それを可能とする事ができた職場環境にも感謝しています。

書道からは沢山の事を学びました。一つ一つ丁寧に積み重ねる事の大切さ。身に付けた技術の尊さ。目標を持つ事で進みやすくなる事や学べば学ぶほどに謙虚になる事。道具を自分の身の一つとして扱う事。情熱と冷静のバランス。師の大きさ、そして師から受け継いだ物を次世代につなぐ事の大切さと難しさ、、、と挙げ出したらきりがありません。

さて、ではこれからの20年で何を学べるのか。そう考えると楽しくなります。一般的には「年を取る事=老いる」と捉えられますが、「年を取る=より多くの知識や技術が身につく」と受け止めれば、今より経験を積み、優れた物を蓄積されているであろう自分の未来が楽しくなりませんか。体力の衰えは仕方ありませんが、それをカバーするだけのものを備えれば、豊かで知的で、そして健康的であると思います。

昨今は色々な健康グッズやサプリメント、また特に女性を対象とした美容グッズが溢れています。マスコミでもそのような話題は定番となりつつあります。こうした環境の中で心がけたいのは、体の外面だけではなく、生きる姿勢や精神、知性や教養といった内面も同じぐらい大切にすること。健康とは体と心の両方とも良好な状態である事です。

以前、「美魔女」という言葉が流行りましたが、私は年相応に老けていく事の方が自然だと思います。勿論、いつまでも若々しくイキイキとしていたいのは言うまでもありませんが、老けていく事がまるで悪い事のように捉えてしまうのはどうかと思います。外面は老けても内面は若返っていく生き方、こちらの方が遥かに素敵ではないでしょうか。好奇心を持ち続け、学びたいと思う姿勢やひたむきに練習を続ける熱意はサプリメントでは補えません。その為にも、少しでも早いうちから学びの対象を見つけてほしいと思います。

私は現在、年配の方を対象とした書道講座の講師もしておりますが、受講者は皆、とても元気で練習熱心です。そしてどの方も上達スピードは違えど、漏れなく上達しています。受講者同士、どんどん仲が良くなり、まるで学生のようです。彼らの姿を見ていると、生きがい、ライフワーク、学び続ける事の大切さ、重要性を肌で感じます。そして自分もあのようにいつまでも学び続けていたいと切に思うのです

日本人の労働時間の多さは多方面から指摘され、生涯にわたって学ぶ事においてもこの長時間労働は弊害になっているでしょう。でも、工夫して時間を作り出したり、時間の使い方を変えて、仕事をしながらでもコツコツと学び続けている人がいる事も事実です。実際、私が知るそのような人は仕事はバリバリ、そして趣味や生涯学習もしっかり、という方が殆どです。少し厳しい意見ですが、忙しいを言い訳にしないでほしい、と思っています。それほど未来の自分のために今という貴重な時間を本当に大切に費やしてほしいのです。年を重ね、気がついた時には遅かった、これならもっと早くから始めるんだったという後悔ほど虚しいものもないでしょう。

私は今からの20年、いつもと変わらず出来る事を一つ一つ重ねていくつもりです。きっと今より成長しているであろう自分を楽しみに、今は上手く出来なくても腐らず、淡々と歩んでいきたいと思います。20年後はきっと足腰が弱くなり、集中力も続かず、視力も衰えているでしょう。でもその分、きっと何かを得ているんだ、と自分を信じて進むのみです。そして20年経ったら、また先の20年を考えてみたいと思っています。

たまに10年、20年という長期スパンで自分を見通してみる事は大切です。これは私が20年、書道を続けてきて感じている率直な思いです。今はひよっこの私ですが、つまずき、休みながらもいつか一端の成鳥になれる日を私はまだまだ夢みています。

プロフィール

書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住

美帆

Author:美帆
書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住。あおい書道教室を主宰、大人から子供までを指導。

毎週月曜日夜間クラス(場所:新橋、成人対象)、隔週火曜日午後クラス(場所:高島平)の生徒募集中です。お問い合わせはメールフォームからお願いします。

出張指導にも応じています。プライベート、グループ(企業・団体への出張可)でのレッスンなど初心者から師範取得まで柔軟に対応いたします(級、段の取得可能)。

いまさら聞けない筆使いの基本、臨書の学習方法、創作の基本、理論などに特化した経験者向けの指導も可能です。既に他の教室で習っているものの行き詰まりを感じている方、伸び悩んでいると感じている方、私をセカンドオピニオンとしてお気軽にご相談ください。

大文字の揮毫(パフォーマンス)、アートワーク制作、看板文字、ロゴデザイン制作なども承っております。お気軽にメールフォームよりお問い合わせください。

(注)プライベートレッスンについては、女性限定とさせていただいております。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター

カレンダー

06 | 2013/07 | 08
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード