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ログオフ、のち創作

良いお天気が続いています。体も軽いし、行動的になります。この先の鬱陶しい梅雨や重苦しい湿度を帯びた東京の夏を思うと、今を大切に、軽やかに過ごしたいものです。

ここ数日、意識的にパソコンやスマートフォンから遠ざかって生活しています(決して持たない、アクセスしないという極端なものではないです)。これまでは電車に乗っても、カフェに入っても、理由もなくとりあえずスマートフォンを覗く、という生活でしたが、その時間は読書の時間に戻りました。

当然の如く読書量は増え、それに伴い想像力が膨らみ、内省する時間も増えます。自己対話が増え、深まる事で創作へも良い影響が出ていると感じますし、何より心の中にザワザワとした雑音が入りづらくなり集中力がアップしました。気持ちの浮き沈みも少なく、自分らしく心地よく過ごせている事を実感しています。

実はこの数ヶ月、集中力が低下しているとずっと感じていました。今まではちょっと自慢できる程の集中力を持っていると自負していたのですが、最近は何をしていても今までのような集中力が続かず、発想力や瞬発力もいま一つで、創作に必要な条件が何故か足並み揃えて低下していると感じていました。人間ですから、確実に年を重ねますし、肉体や精神力も自ずと低下するのは自然な事ですが、ここ数ヶ月の私の状態は、「自然に」ではなく「ぱったりと」という感じで、自分でも少し気持ち悪い感じで過ごしていました。

どうにかして取り戻したいという思いから、集中しやすい環境を整える事を考え、不要な物は切り離す事にし、最初に書いたように、パソコンやスマートフォンとの距離を思い切って取るようしたのですが、その結果は自分でもびっくりするほど効果絶大でした。何度も言いますが、決してパソコン、スマートフォンに触れない訳ではありません。仕事に必要なやり取りはほぼメールですし、パソコンは様々な事務処理には必要です。ただプライベート時間にはしっかり切り離すようにしただけです。ダラダラと時間を過ごしがちなSNSサイトへのアクセスも思い切って数日に一度程度にしました。

ただでさえ情報過多な現代、自分からアクセスする方法はいくらでもあるのに、フィルタリングをかけずに毎日、脳みそへ情報を流し込む事は、かなりのストレスになっているのではないかと思います。きっとここ数ヶ月の私は、あらゆる情報が一方的に入ってきて、脳が疲れきってしまい、頑張るべきところで力を発揮できなかったのではないかと思っています。ツールは正しく操ってこそ便利なものであって、間違った使い方をすれば怪我もするものです。

ただ振り返ってみればほんの少し前の生活をしているだけ、決して不便ではありません。現状でも十分に便利過ぎる状態です。

なかには器用に脳のスイッチを切り替えられる人もいるでしょうから、全面的にパソコンやスマートフォンを否定はしません。人それぞれの距離があるのだと思います。集中力が持続しなかったり、今まで出来ていた事が上手くいかなくなったり、気持ちが落ち着かない状態が続いたら、オフの時間は電子機器からログオフして、内省の時間を多めに取る事、とても大切だと実感しました。ということで、この一週間はいくらでも書ける、と感じながら書いていました。ペン字レッスン用のテキストの改訂作業も予定よりも早いスピードで進んでいますし、大好きな音楽も読書も充実していました。

rantei.jpg
写真は気持ちが良くて、決して暇があったわけではないのですが、気持ちに任せて王義之の「蘭亭叙(定武本)」の全文臨書を原寸大でしてみたものです。反省点だらけですが、全臨は気持ち良いです。

暫く今の状態を続けて行こうと思っています。

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主役と脇役

ゴールデンウィークも終わり、東京では一気に初夏のような陽気の日もあり、一年の中でも一番過ごしやすい季節を迎えました。外を歩るくのが気持ち良いですね。

今年のゴールデンウィークは、やはり個展に向けて創作中心の生活となりました。でもだいぶ作品も仕上がり、上手くいけば夏には少しオフが取れるかな、という状況です。また、子供からシルバー世代まで指導しているせいか、色々なご要望を頂き、その声に少しずつお応えできるよう、隙間時間はレッスン内容の見直しや資料収集もしています。これは仕事の幅を広げる良い機会ですから、楽しく試行錯誤を重ねています。例えば左利きの人への指導に向けて、私自身も実際に左手で書いて実体験し、右手の場合と左右対称にすればいい、ではないという事を自ら経験しています。

さて、タイトルの「主役と脇役」。創作していて、調子も良く気分も乗って来て、どんどん書き続けたいと思う事があります(当然、その逆もあるのですが)。どんどん気持ちが高ぶり、もっと上手に、素敵に、目を引くような作品にしたいと思うわけです。そしてその結果、全ての字が「主役」になってしまったという事がよくあります。自分としては、持てる力を出しきった、なんて自惚れている瞬間ですが、師匠に見て頂くと、「全部の字が張り切り過ぎて、どこを見ていいか分からない」と言われます。もう、何度この言葉を言われたか。全部が優等生の仕上がりだと、全体としてはかえって見栄えしなくなってしまうのです。

主役を引きたてる為に、脇役は敢えて控えめに留めておく事。これが私の今の課題の一つです。敢えて力まず、淡々と存在する美。そしてその脇役があってこそ主役が生きるのですから、脇役は決して適当な存在ではなく、どちらもお互いを必要とするもの。芸術での脇役とは、主役との主従関係ではなく、相互関係なんです。

私なりに修業を重ね、頭では理解できるようになりましたが、これを無意識にできるようにならなければ一人前ではありません。まだまだ半人前ですが、こうして自分の課題が明確に見えてきた事も事実です。少し前では見えていた世界はもっとボヤけた世界でした。

しかしこの主役と脇役、生き方にも通じるように思います。自分の優れた点に目を向けず、劣っているところばかり埋めようとするあまり、自分の長所が分からなくなってしまう事、あると思います。短所を補う努力は絶対に必要ですが、その一方で長所がくすみ出したら本末転倒。

ついでにもっと言うと、書道では墨書全てが脇役であり、余白の紙の白色が主役という作品もあるのです。決して手抜きではなく、意図的に主張せず静かに書きあげる。

創作においても、生きていくうえでも、必要以上に力まず淡々と、自然体で楽しくが一番ですね。

プロフィール

書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住

美帆

Author:美帆
書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住。あおい書道教室を主宰、大人から子供までを指導。

毎週月曜日夜間クラス(場所:新橋、成人対象)、隔週火曜日午後クラス(場所:高島平)の生徒募集中です。お問い合わせはメールフォームからお願いします。

出張指導にも応じています。プライベート、グループ(企業・団体への出張可)でのレッスンなど初心者から師範取得まで柔軟に対応いたします(級、段の取得可能)。

いまさら聞けない筆使いの基本、臨書の学習方法、創作の基本、理論などに特化した経験者向けの指導も可能です。既に他の教室で習っているものの行き詰まりを感じている方、伸び悩んでいると感じている方、私をセカンドオピニオンとしてお気軽にご相談ください。

大文字の揮毫(パフォーマンス)、アートワーク制作、看板文字、ロゴデザイン制作なども承っております。お気軽にメールフォームよりお問い合わせください。

(注)プライベートレッスンについては、女性限定とさせていただいております。

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