街で見つけた字

8月も下旬というのにこの酷暑。でも空を見上げた瞬間とか、日の出や日の入りの時間で少しずつ秋を感じます。確かに時間は巡っている。

先日、個展でお世話になる画廊へ使用料を支払いして、少し身が引き締まる思いで家路につき、自宅近辺で買い物をしていた時、ふとあるお店の看板が目に入りました。普段からしょっちゅうそのお店の前を通っているにも関わらず、初めてそのお店の看板に目を留めたといっても良いぐらいそのお店の看板に目を向けた記憶が無く、この時、運命的に「対面した」という感覚に襲われました。

「良い雰囲気を持つ字だな。味わいがあるし力みがない。でも字の格調は保っていて素敵だな」というのが最初の印象でした。どこかで見た事がある感じがし、もしかしたら・・・と思って看板の落款を確認したらビンゴ!でした。

そう、何と中村不折の字だったんです。彼は明治・大正・昭和時代の画家でもあり書家でもある芸術家で、書道を勉強する者なら誰でも知っている人物です。独特の世界観を持ち、大らかさと気力のバランスが良く、書道の世界を知れば知るほど、彼の作品の大きさを感じるのです。あんな風にさり気なく存在感のある字を書けたらな、と思わずにはいられません。彼は多くの有名な看板やロゴ文字を残しているので、不折の名前は知らなくても、その字を見た事は誰でもあると言って良いほどです。例えば「新宿 中村屋」の字もその一つ。

kanban.jpg

これがその看板。慶応大学近くの大阪屋という和菓子屋さんです。

もっと街の中でこのような素敵な字に出会えると良いのですが、残念ながら今はお店の看板にしても、ロゴに使われる字にしても品のないものが多く書道を学ぶ者としては「またか・・・」と辟易する事が多いです。日常、目にする字が良いものであれば書道への意識も変わるだろうし、格調高い字に囲まれた字で生活すれば、自ずと良い字を見極める目も養われるだろうと思うのですが、現在は逆行しています。

「もはや書道は日本人にとって最も馴染みある芸術ではなくなった」とは昨日、師匠が言っていた言葉。悲しいけれど現実だと感じています。せめて現存する良いものを大切にし後世に残していきたいものです。

個展に向けて少しずつ草稿を書きだし創作モードに入ってますが、「落とし所」が難しいなあと悩む毎日です。玄人向けの字ばかりだと素人には理解できない、素人向けに迎合したくはない、そうなると両方を混ぜていくしかないのですが、全体としての統一感も必要です。今回は捨てる作品を勇気を持って作るつもりです。



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個展の会場、会期が決まりました

まだまだ厳しい暑さが続きますね。くれぐれも熱中症には気を付けて、どうにかこの夏を乗り切りたいものです。

ここ数ヵ月、次の個展の開催に向け、条件に合うと思われる都内の色々なギャラリーを見て回ってきましたが、ようやく決まり、今日、打ち合わせをして正式な日程が決定しました。

会期:平成25年11月25日(月)から12月1日(日)
会場:円鳥洞画廊(丸の内)

当初は今回も銀座でと考えておりましたが、条件に合う場所が見当たらなく、銀座がダメなら丸の内の街の雰囲気がいいなと思っていたので、こちらの画廊にめぐり合えた事、本当に感謝しております。

まだ一年以上も先の話ですが、個展や展覧会は一年、二年以上先のスケジュールを目指して動くのが通常なので、実はこの会期でもかなり厳しい状況です。

でも今までにない広い空間に展示出来る事、これまで以上に大きな作品を手がける事が出来る事など嬉しい挑戦ばかりなので、焦りよりも良い刺激が体中を巡っている、そんな感じです。

個展では毎回、新作のみを発表する事に拘っています。過去の作品(自分)に甘える事なく、時間の限り精一杯、創作活動に打ち込み、多くの方からご感想を頂ければと思っております。作品はまだ一つとして仕上がっていないので私としては寧ろ少し焦った方がいいのですが、今は自分でも呆れるほど落ち着いています。

まあ、これから徐々に焦り、苛立つのでしょうが、それも含め全て楽しみながら、自分と向き合いながら、前回よりも良い内容の個展にしたいと思っています。

個展前に作品をブログ等で公開する事はありませんが、それでも雰囲気はお伝えできる範囲内で少しずつは報告していきたいと思っております。

ということで、、、まずは今夜からしっかり書くとします。

スポーツも書道も長い目で

連日の暑さ、高い湿度、本当に参っていますが、夏バテせずに過ごしております。8月は若干、レッスンが少ないので、こんな時こそ「仕込み」をと、書斎に籠る時間が増えています。何とか来年には個展の開催を実現したいのですが、奈何せん、条件に合うギャラリーにめぐり合えず、候補となるギャラリーの見学をしながら、仕事しながら、創作の仕込みをしながらと毎日があっという間です。

創作のネタの仕込み中は、机の上が資料やノートで埋まります。
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ところでこの夏の話題といえばオリンピック。多くの方が夜更かしを余儀なくされているのではないでしょうか?選手の挑む姿から、私達が日頃怠っている事や疎かにしている事を教えられる事も多く、自分を振り返っては「私はまだまだだな」と思わずにはいられません。

先日、見るともなく見ていたテレビで、オリンピックに向けて国がどのような取り組みをしているのかというテーマを扱っていました。その中で、最後にあるジャーナリストが、「メダル獲得にばかり目を向けると、選択と集中をせざるを得なくなる。しかし国がそれをやっていいのか。もっと長い目で日本に長く根付いていたスポーツを文化として育てる精神も大切だ」と強調していました。

私も同感です。どの分野にでも当てはまりますが、目先の事ばかりに焦点を当てると視野が狭くなり、大切な物を切り捨ててしまいがちです。スポーツでも芸術でも、すぐに結果を出せる人もいれば、コツコツ積み上げて大成する人もいる。勝負の結果にこだわるのか、自分の取り組み方にこだわるのかも人それぞれ。大切なのは本人が楽しんでいるか、自分が掲げた目標に対して自分に偽りなくやっているか、のはず。

昨今、書道を教えていて常につきまとう違和感の一つに目先の結果のために子供に習わせようとする親が多いということがあります。本人が好きか嫌いかではなく、学校の書初め大会で良い賞を取らせたい、周りの子より上手な字にさせたい、という親本位の方がほとんどです。その割には、練習をさせるという事については無関心。鉛筆の持ち方さえも指導されていません。レッスンを休む事にも鈍感です。親が苦労させたがらないのに、本人が自ら苦労するはずはありません。「先生の目の前では上手なのに、指導してくれた書き初めは賞を取れたのに、通常の授業では上手くいきません」と言われる方が多いですが、当たり前の事です。身に付くほど練習していないのですから。

スポーツでも芸術でも、技術が身に付き自分のものになるまでには沢山の練習を重ねる他ありません。短絡的に安直に考えず、自分は長い人生の中で何に向き合いたいのか、自分はどうなりたいのか、そのために今何が足りないのか、ゆっくり考え腰を据えて、今出来る事をしっかりやり遂げる毎日を積み重ねたいものです。そこには苦しみもあるでしょうが、やり遂げた充実感は本人しか味わえないものでもあるのです。

今年は夏休みが取れそうにありませんが、個展に向けて今出来る事をしっかり、ゆっくり丁寧にこなしていきたいと思います。メダリストのこれまでの努力を思えば愚痴も文句も言えませんよね。

プロフィール

書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住

美帆

Author:美帆
書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住。あおい書道教室を主宰、大人から子供までを指導。

毎週月曜日夜間クラス(場所:新橋、成人対象)、隔週火曜日午後クラス(場所:高島平)の生徒募集中です。お問い合わせはメールフォームからお願いします。

出張指導にも応じています。プライベート、グループ(企業・団体への出張可)でのレッスンなど初心者から師範取得まで柔軟に対応いたします(級、段の取得可能)。

いまさら聞けない筆使いの基本、臨書の学習方法、創作の基本、理論などに特化した経験者向けの指導も可能です。既に他の教室で習っているものの行き詰まりを感じている方、伸び悩んでいると感じている方、私をセカンドオピニオンとしてお気軽にご相談ください。

大文字の揮毫(パフォーマンス)、アートワーク制作、看板文字、ロゴデザイン制作なども承っております。お気軽にメールフォームよりお問い合わせください。

(注)プライベートレッスンについては、女性限定とさせていただいております。

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