FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「書について」(高村光太郎)を読んで

9月に入り、空も秋の模様になりました。季節の移ろいを感じますね。そして9月ということは今年の残りはあと4ヵ月。本当に早いですね。

昨日、少し調べ物をしていて、偶然にタイトルにもある高村光太郎の「書について」という文章に出会いました。言うまでもなく彼は偉大な芸術家です。彫刻や絵画、詩など広い分野にわたり、作品を残されています。そんな彼が「書」について、どのような思いがあったのか、かなり興味があり、気軽な気持ちで読み始めたものの、冒頭で「おっ!これは心して読むべき物だぞ」という、一種の緊張感に包まれました。

その冒頭とは
「この頃は書道がひどく流行して来て、世の中に悪筆が横行している。なまじっか習った能筆風の無性格の書や、擬態の書や、逆にわざわざ稚拙をたくんだ、ずるいとぼけた書などが随分目につく。」
というものです。

どうですか?これ、今と全く変わらない様です。現在、書道がひどく流行しているかどうかは一概に言えませんが、でもやってみたい習い事では大人も子供も書道は必ず挙がっています。そして、何よりも気になるのが、彼の言葉でいう「わざわざ稚拙をたくんだ、ずるいとぼけた書」が、あたかも素敵なものとして扱われている現状。

ああ、このような状況は高村光太郎が活躍していた時代から存在して、どんどん退化の一途をたどっているのか、と改めて痛感したのでした。

この「書について」は短くさっと読める文量でありながら、全体を6つに区分けし、構成されています。ざっと内容をつまんでみると、

一:
書は習うに越したことはない。もともと書は人工に起源を発し、伝統の重量性にその美の大半をかけているので、生まれたままの自然発生的の書には深さがなく、脆弱で味気ない。

二:
人工から起こったものは何処までも人工の道を究めつくすのが本当。生まれながらに筆硯的感覚をもっている人ですらそうであるから、その感覚をもっていない人の書となると、俗臭に堕する。そして世の中にはそういう書が幅をきかせている。

三:
書は造形的であるから、その根本原理として造形芸術共通の公理を持つ。比例均衡の制約。筆触の生理的心理的統製。布置のメカニズム。感覚的意思伝達としての知性的デフォルマション。こういうものを無視しては書が存在しない。書を究めるということは造形意識を養う事であり、この世の造形美に眼を開くこと。

四:
漢羲六朝の碑碣の美はまことに深淵のように恐ろしく、実にゆたかに意匠の妙を尽くしている。しかし筆跡の忠実な翻訳というよりも、筆と刀との合作といるべきものがなかなか多い。それゆえ、古拓をいたずらに肉筆で模しても俗臭堪えがたいものになる。

五:
王羲之の書は、偏せず、激せず、大空のようにひろく、のびのびとしていてつつましく、しかもその造形機構の妙は一点一画の歪みにまで行き届いている。書体に独創がおおく、その独創が普遍性をもっている。

六:
書は当たり前と見えるのがよい。無理と無駄との無いのがいい。力が内にこもっていて騒がないのがいい。悪筆は大抵余計な努力をしている。そんなに力をいれないでいいのに、むやみにはねたり、伸ばしたり、ぐるぐる面倒な事をする。

どうですか?しっかりとした書道論ですね。特に「三」は、さすが後世に名を残した芸術家の視点だな、と感服しました。書道を学んでいる者の中で、どれだけ造形芸術共通の公理や意識を気にしているでしょうか?

また最後の「六」も、心当たりありませんか?最後の「はね」がやたらに強調されたり、必要以上に伸ばされたり・・・本当によく見かけるものですね。また、それが恰好が良いと評されるのだから困ったものです。

どの世界にも言える事ですが、良いものは無理と無駄がないものだと改めて胸に刻んだ次第です。自戒のためにも、今回、ブログでこの「書について」をご紹介いたしました。

※ちなみに高村光太郎は著作権が切れていますので、全文を読んでみたい場合には青空文庫で読めます。

過ごしやすい季節になりましたから、じっくり落ち着いて基本に向き合ってみるのもいいですね。

********************************************************************
レッスンや作品制作、作品レンタル等のお問い合わせはこのブログのメールフォーム(プロフィールの下にあります)、またはコメントからお願いします。

レッスンについては
「教えるのが上手な先生.com」(「音楽・芸術」分野に登録)
「LESSSON(レッソン)」(レッスン全般について)
「LESSSON(レッソン)」(作品制作、パフォーマンスなどについて)
からでも受け付けております。

作品レンタルの詳細はこちらをご覧ください。

些細な事でもお気軽にお問い合わせ下さい。
********************************************************************



スポンサーサイト

忙しい中、京都へ

二月も下旬、梅が咲き、少しずつ春を感じるようになりました。すっかり更新が滞ってしまいました。創作が佳境となり、気忙しく過ごしていました。

そんな中、先週の金曜日と土曜日に一泊で京都へ行ってきました。一番の目的は大徳寺聚光院の特別公開の拝観。創建450年を記念して、国宝である障壁画を期間限定で公開しているものです。国宝の障壁画は、通常は京都博物館に所蔵されており、この記念公開期間中だけ、聚光院に里帰りしているという訳です。この特別公開は師匠から聞き、勧められたので、滅多に無い機会でもあるので、一か月ぐらい前に拝観予約していました。

これは見て本当に良かった!解説員付きで見て回るので、鑑賞のポイントも教えてもらえるので理解も深まります。ご興味のある方、公開は3月26日まで、ホームページから予約が必須となります。(予約なしでも空きがあればその場で申し込みできるようですが、私が行った時は予約で全て埋まっていました。)

撮影が一切不可だったのですが、むしろ撮影できなくて良かったと思っています。神経を自分の目と心に集中させることが出来ました。

今回は久しぶりの京都ということで、個展前で忙しい時でしたが、思い切って一泊し、レンタカーで回りました。聚光院以外は金閣寺、広隆寺、妙心寺、嵐山、八坂神社とその周辺など、ゆっくり見て回る事ができました。食事やカフェも楽しんできました。

最近、忙しかったからこそ今回の京都旅行は心に沁みました。充実した時間を過ごせたので、これからの最後の踏ん張りも何とか乗り切れそうです。

********************************************************************
レッスンや作品制作、パフォーマンス等のお問い合わせはこのブログのメールフォーム(プロフィールの下にあります)、またはコメントからお願いします。

もしくは
「教えるのが上手な先生.com」(「音楽・芸術」分野に登録)
「LESSSON(レッソン)」(レッスン全般について)
「LESSSON(レッソン)」(作品制作、パフォーマンスなどについて)
からでも受け付けております。

些細な事でもお気軽にお問い合わせ下さい。
********************************************************************



100回の稽古より一回の展覧会

早いものでもう10月。今年も残り3ヶ月になりました。今日は10月には珍しい暑さとなり、夏の装いでレッスンに出かけました。例年、10月になると年末まであっという間。きっと今年も気が付いたら終わってしまいそうで、、、これからの時間、計画的に過ごさなければと、変に焦ってしまいます。

前回のブログでは少し苦しい状況を吐露したのですが、何とか乗り越える事ができました。悩み苦しんだものが実を結んだ感じで、今は気持ちがとても軽いです。今後の作品のアイデアも浮かび、また一つ一つの地道な積み重ねを大切にしていこうと思っています。恐らく、他人からは私の変化を感じる事は出来ないでしょう、でも肝心なのは自分の気持ち。自分が納得し、自信が持てたことが嬉しくて、とても充実した気持ちです。

さて、今朝の朝日新聞の一面のコラム、「折々のことば」が印象深かったので、レッスンへ向かう電車の中でも自分の事に置き換えて色々と考えていました。

asahi.jpg

「100冊の本を読むより、一回の恋愛」、そして「100回のレッスンより一回のステージ」。

その通りだなぁ、と思うんです。書道の世界なら「100回の稽古より一回の展覧会」といったところでしょうか。

日常のレッスンを継続することも当然いいけれど、展覧会を目の前にして苦しんで試行錯誤しながら仕上げて出品する、そして他人から評価される過程から得るものは本当に大きく、自分を育ててくれます。ずっとマイペースで進むことを否定しませんが、定期的に大きな目標に向かってチャレンジする事、それも人様の前に作品を披露する事で自分を客観視する事ができ、自分の器が少しずつ大きく、深くなるものだと思います。

結局のところ、実際に経験する事が何よりの勉強なんだと思います。頭でわかっている事と、それができる事は違うというのはどの世界にでも共通しますよね。

以前のブログでも紹介しましたが、二人の生徒さんが展覧会に挑戦し、二人とも好結果を残したのですが、その作品制作を通して、日頃の練習の積み重ねと、締め切り前の時間の使い方を身をもって分かった事から、1人の生徒さんは今もなお、毎日の自習臨書を続けています。毎週のレッスンで添削していますが、みるみる上達しているのが分かります。本人もどんどん楽しくなっているようです。まさにこれが「100回の稽古より一回の展覧会」。

現状に不満はないけれど、でも何かメリハリを感じない、上達しているという実感がないという方、思い切って人様の前で披露する場なり、資格を取ってみるなり、何かしらチャレンジしてみてはいかがでしょうか?途中は苦しいでしょうが、終わったらきっと違う景色が見えると思います。私の事でいえば、個展をするたびに、少しずつ自分の成長を感じる事ができるようになりました。まあ、私の場合は未熟過ぎて、伸びしろの方がよほど大きいので、これで成長しなければお話にならないのですが。。。

********************************************************************
レッスンや作品制作、パフォーマンス等のお問い合わせはこのブログのメールフォーム(プロフィールの下にあります)、またはコメントからお願いします。

もしくは
「教えるのが上手な先生.com」(「音楽・芸術」分野に登録)
「LESSSON(レッソン)」(レッスン全般について)
「LESSSON(レッソン)」(作品制作、パフォーマンスなどについて)
からでも受け付けております。

些細な事でもお気軽にお問い合わせ下さい。
********************************************************************



『王羲之から空海へ』展

とうとう梅雨入りし、急に湿度が上がり、どんより曇り空に覆われてしまいました。気温もぐっと下がり、体調を崩しやすくなりますね。梅雨明けまで暫くの間、傘やレインシューズの出番が多くなりますね。

先月、ブログで「行くか行かないか迷っている・・・・」と書いていた「王羲之から空海へ」展ですが、実はちょっと無理して行ってきました。台湾旅行の翌週、この展覧会を見るだけの為に大阪へ日帰りで行ってきたんです。今となっては無理しても行って良かったです。

日帰りで、しかも東京に戻る時間が決められていた状況だったので、当日は早朝の新幹線に乗り、美術館へはほぼ開館と同時に入場しました。この「王羲之から空海へ」展は大阪市立美術館開館80周年記念としての特別展との事で、会期は4月12日から5月22日まで。私が行ったのは5月20日で、終了間際でもあったせいか、開館時からかなりの混雑でした。

DSC_0402.jpg

中国と日本の名だたる書跡が勢揃いで、じっくり見るにはいくら時間があっても足りないぐらいでした。有名な「蘭亭序」や「集王聖教序」などは複数の拓本を並べて展示しているので、拓本による違いも良く分かり、全体に共通する雰囲気も感じ取られました。

日中、それぞれの展示は時代ごとに分けられて、見やすい展示がされていました。一つ残念といえば、中国の書跡で、金文や隷書が無く、南北朝時代では鄭道昭や龍門造像記が無かった事ですが、あれだけの規模の展示館となれば、多方面からの貸し出しの調整に相当手間がかかるでしょうから、文句は言えません。(呉昌碩も見たかったなぁ。。。)

空海の風信帖は、これまでに何度も見ていますが、今回見た時は今まで感じなかった線の立体感を感じられました。もしかしたら照明の具合(光の当て方や色など?)の違いなのかもしれませんが、今までよりも線が強く、生き生きと感じられ、自分でも不思議な気持ちになりました。

帰りの新幹線の時間も決まっているので、時々時計を気にしながら何とか全て見て回り、最後に図録を買って新大阪へ。切符買って、お昼ご飯のお弁当買って、、、で、殆ど余裕無く帰りの新幹線に乗り込みました。この日は朝食も昼食も新幹線の中でお弁当、大阪滞在時間はほぼ4時間、何とも慌ただしいスケジュールですが、贅沢といえば贅沢過ぎる美術鑑賞。

DSC_0403.jpg

台湾の故宮博物院と、大阪の「王羲之から空海へ」展を短期間で集中して鑑賞できた5月はその後の創作にとても良い影響を与えてくれました。歯車が噛み合い、徐々にスピードも増して、目標に向かって進み出したような、そんな感じです。

やっぱりインプットは大切です。インプットしないでアウトプットだけ求めるなんて、貯金していないのに利息を求める事と同じ。人間、所詮は自分の経験した事しかできないのです。天性とか、才能とか、感性とか、、、色々仰る方が多いですが、それらは努力したからこそ発揮されるもの。そして見るなら最高のものを見るべきです。最初は分からなくても、見ているうちに目が肥えます。分からなければ、レッスンの中でどんどん先生に質問してみて下さい。鑑賞のポイントや、歴史や、書道理論や技法など色々話が膨らみ、次第に楽しくなると思います。

古典の勉強はやればやるほど楽しく尽きないなぁ、と感じる今日この頃です。そんな私が今取り組んでいる古典は「十七帖」。何度も繰り返して全文を臨書しています。何度書いても発見があるし、難しいです。でも、ほんのちょっとだけ上手く書けるようになった気もします。

梅雨の季節、外出が億劫な時には本腰を入れて臨書するのもいいですよ。

********************************************************************
レッスンや作品制作、パフォーマンス等のお問い合わせはこのブログのメールフォーム(右側、プロフィールの下にあります)、またはコメントからお願いします。

もしくは
「教えるのが上手な先生.com」(「音楽・芸術」分野に登録)
「LESSSON(レッソン)」(レッスン全般について)
「LESSSON(レッソン)」(作品制作、パフォーマンスなどについて)
からでも受け付けております。

些細な事でもお気軽にお問い合わせ下さい。
********************************************************************




台北の書道道具店情報

台湾旅行の目的は、書道道具の買い出しでもあったので、今回訪れたお店の情報についてまとめます。とは言いながら、買い物中は自分の買い物の事で頭が一杯になり、ひたすら店内で物色して、気が付くと何と写真の一枚も撮ってこなかったのです。

記憶とお店のレシートなどをもとに情報をまとめます。

場所は前のブログでも書きましたが、師範大学の通りです。通りの名前は「和平東路一段」で、地下鉄の古亭駅を降りて目の前の通りです。この通りの左右に幾つか書道道具店があります。

全部を見尽せませんでしたが、お店の規模や品揃えが豊富だと感じたのは「蕙風堂」です。「蕙風堂」は店舗が二つあり、一つは書籍が中心で、もう一つは道具が中心でしたが、どちらも見やすい店内の雰囲気でした。書籍に力を入れているようで、「蕙風堂」が出版している本が沢山ありました。日本の出版物の扱いもありました。私はここで書籍を3冊購入しました。カード使用もOKです。

購入したのは「古代図形文字藝術」、そして最近とても好きな王鐸の図録2冊。王鐸の図録は2冊とも蕙風堂出版のものです。

DSC_0408.jpg

「古代図形文字藝術」は創作にとても役立ちそうです。内容は金分だけを収蔵した字典ですが、見ているだけで想像力を掻き立てられます。実はこの手の資料は、今までずっと地道に自分でアナログ的に収集してノートにまとめていたので、見つけた瞬間は涙が出るほど嬉しかったです。

DSC_0409.jpg

他には筆を三つのお店で購入しました。一軒目は「友生昌筆墨文具荘」、二軒目は「九怡堂」、そして「國泰棉紙有限公司」。筆の質は一軒目→二軒目→三軒目という印象です。今回は柔らかい山羊の筆のほか、硬めの馬の筆なども見たかったので、一軒目と二軒目で山羊の筆、三軒目で馬の筆を購入しました。

DSC_0400.jpg

既に買った筆は使用していますが、まあまあといったところです。飛び切り良い羊毛をお求めなら、やはり日本で買った方がいいという印象は変わりませんが、普段に使うには全く問題ないレベルですし、中国よりは台湾の方が全体的に質は高いと感じます。そしてお値段は日本よりお得感はあります。

勿論、ここで紹介したお店以外にも書道道具専門店はありましたので、台北で書道道具を買ってみたい方は、少し時間に余裕を持って師範大学前の通りを歩いてみてはいかがでしょうか?

********************************************************************
レッスンや作品制作、パフォーマンス等のお問い合わせはこのブログのメールフォーム(右側、プロフィールの下にあります)、またはコメントからお願いします。

もしくは
「教えるのが上手な先生.com」(「音楽・芸術」分野に登録)
「LESSSON(レッソン)」(レッスン全般について)
「LESSSON(レッソン)」(作品制作、パフォーマンスなどについて)
からでも受け付けております。

些細な事でもお気軽にお問い合わせ下さい。
********************************************************************




プロフィール

書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住

美帆

Author:美帆
書道家(書道師範)、東京生まれ、北海道育ち、現在都内在住。あおい書道教室を主宰、大人から子供までを指導。

毎週月曜日夜間クラス(場所:新橋、成人対象)、隔週火曜日午後クラス(場所:高島平)の生徒募集中です。お問い合わせはメールフォームからお願いします。

出張指導にも応じています。プライベート、グループ(企業・団体への出張可)でのレッスンなど初心者から師範取得まで柔軟に対応いたします(級、段の取得可能)。

いまさら聞けない筆使いの基本、臨書の学習方法、創作の基本、理論などに特化した経験者向けの指導も可能です。既に他の教室で習っているものの行き詰まりを感じている方、伸び悩んでいると感じている方、私をセカンドオピニオンとしてお気軽にご相談ください。

大文字の揮毫(パフォーマンス)、アートワーク制作、看板文字、ロゴデザイン制作なども承っております。お気軽にメールフォームよりお問い合わせください。

(注)プライベートレッスンについては、女性限定とさせていただいております。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター

カレンダー

10 | 2018/11 | 12
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。